私のロマンス

映画とか、ゲームとか。

ニュースの天才

面白い記事が書ける若きスター記者として業界内ではすこぶる評判が良く、愛想がよく気配りのできる好青年として仕事仲間からも好かれている。
リパブリック誌の記者として働くスティーブンは、優秀な男だった。

ある時、彼がとあるハッカー少年の幸運について書いた記事“ハッカー天国”も、文句なしに面白かった。
しかしその記事は、ライバル誌のインターネット分野に強い記者に「こんなに大きな話題がどこにあった?」と疑問を抱かせることに…。

ハッカー天国”についてネット記者が調べれば調べるほど見つかる穴。
実在しない会社、実在しない関係者、そもそもそんなハッカー少年すら存在しないのである。

記事が捏造だとすれば大問題。
かつての同僚で現編集長のレーンは真相を確かめるため、スティーブンを彼が行ったという取材場所まで連れていくが、場所の矛盾、記事の内容、スティーブンの証言、どれもめちゃくちゃなものだった。


ハッカー天国”が捏造だと分かった今、レーンが編集長としてスティーブンにしてやれる事は、彼が記者生命を断たれないようにライバル社に掛け合う事しかなかった。

しかしそんなレーンの努力や信頼を踏みにじるように次から次へと発覚するスティーブンの捏造記事。
その数は、彼が今まで書いてきた記事の半数にも及ぶものだった。



その後のスティーブンは、記者を辞め、もともと学んでいた法律の道に進もうとしている。
しかし一度失った信頼は簡単に取り返せるものではなく、かつての同僚たちは今も彼を厳しく見ているのだった。





おまけ
・“スティーブン”の自伝的小説を基にした映画
・あんな事をする(した)人間が実在するんだからすごい
・特典映像の“スティーブン”本人と元同僚へのインタビューがなかなか。元同僚が彼を再び信頼する日はこなさそう…。

・元編集長は記者を守ってくれるいい人だが、そこに甘んじたのがスティーブン。悪いのは誰なのか…。
・新編集長は人望なさすぎ。スティーブンは仕事仲間に好かれていたため、必然的に新編集長VS同僚の構図が!
・そしてスティーブンは甘えすぎ。栄光のため重圧のため色々あったんだろうけど、記事を捏造しといて「編集長ならぼくを守ってよ!」はさすがにないです。

・複雑かつ重い話のようでいながら、つるっと飲み込める映画だった